Mono Japan AIR
MONO JAPANはアムステルダムで開催される現代的な日本のクラフトやデザインプロダクトの展示・即売会です。2016年より毎年欧州やオランダのファンに、伝統的な美や確かな技術、コンテンポラリーな発想などが豊かに昇華された美しいプロダクトをセレクトし紹介しています。ロイドホテルのユニークな会場で、日本からの参加メーカーやクリエイターたちが現地の人々と出会い、物を通じて触発し合うプラットフォームです。
2019年の第4回目には、オランダの文化助成団体スティミュレーリングス・フォンズとオランダ王国大使館の後援により、アーティスト・イン・レジデンスという初の試みが実現しました。会津漆器(福島)、神儀装束(京都)、石州和紙(島根)の日本の3つの産地がオランダからのデザイナーを受け入れ、2ヶ月間に渡り協業します。
このプログラムではオランダのデザイナーが日本の伝統的なものづくりの産地や職人技と出会い滞在しながら協業し、現代の生活にマッチし、市場に合った、オランダと日本の協業のシンボルとなるような新しいプロダクトを生み出すことを目標としています。この新しい挑戦は、オランダのStimuleringsfondsとオランダ王国大使館からの後援によって実現しています。
京都では吉田神儀装束がアムステルダム在住のファッションデザイナー、マリヤム・コルバチェンを迎えます。コルバチェンはアーネムのファッションで有名な芸術大学ArtEZを2009年に卒業、その後オランダ人デザイナー、ヴィクター&ロルフやカール・ラガーフェルドのもとでも働き、現在はフリーランスとして活躍する経験豊かなデザイナーです。作品はプリーツやレイヤー、ドレープなどを駆使した3Dのエフェクトの造形的なものを得意としています。日本の伝統的クラフトや自然に対するシンプルで官能的なアプローチに長年憧れを持ってきました。
吉田装束店も「江戸時代、日本はオランダから西洋の技術を学んだ。改元を迎える今年に、日本の伝統をオランダにお返しをする」と、オランダとつながり、コルバチェンを迎え入れることに大変意欲的です。
日本の古都である京都は、国内最大の着物文化の発信地として機能してきました。また、都の安全や繁栄を祈り神社仏閣も集中している地域であるため、神官たちの装束も他の工芸同様に分業制で、京の街で神儀装束の全てが揃うネットワークが培われてきました。これにより、ほとんどの神儀装束は制作されています。吉田装束店は市内の中心に位置する狩衣に特化する仕立屋です。狩衣は平安時代に生まれて以来、神官も常用着または神事の際に着用するようになりました。平安時代から縫い方は変わっていない伝統的なこの装束は、吉田装束店の現代的なアトリエにで各世代のスタッフたちにより制作されています。吉田装束店ではファンションの学生を雇用したり、現代的な装束店を目指し、舞台衣装を制作するなど装束だけに捉われない挑戦をしています。
MONO JAPANはコルバチェンと吉田装束の出会いにより、フレッシュで刺激的な新しい可能性が花ひらくことを期待しています。
MONO JAPANアーティスト・イン・レジデンス:https://monojapan.nl/en/programme/mono-japan-artist-in-residence.html